「白ゴムカラージャージ」
 70年代の終わり頃になると、より発色の良くなる白ゴム(生地にサンドされたスポンジ部分)が採用されました。現在のジャージ素材はほとんどが黒いゴムスポンジが使われてますが、これは両面に貼りつけるファブリックの品質が飛躍的に向上した為で、当時はそのファブリックそのものの繊維開発や染色技術が低かった為、黒いゴムに貼ると下地の黒さで生地の発色が悪くなり、どうしても濃色な生地ばかりとなっていました。
 それらのファブリックを白いゴムに貼ることで生地の発色が良くなり、パステルやビビッドカラー、蛍光カラーが可能になり、ウエットスーツのカラーは一気に華やかなものになりました。

 しかし、この「白ゴム」は問題も多く抱えておりました。まず白くするために顔料を多く含有するのでゴムスポンジ自体の伸縮が悪く、さらにウエットズレも起こしやすい代物でしたが、同時にスレ止め用のワセリンも売れることになりました。
 さらに時間の経過とともに白色をはじめ、発色の良いカラーは接着剤の影響で黄ばむのが早く「白は黄ばみますよ」と言いながらオーダーをとったものです。少しきらついたオペロン素材は黄ばみは少ないものの、生地自体が剥がれたりと、とても苦労しました。この白ゴムはその後カラーラバーに進化しましたが、結局80年代の後半には使われなくなって行きました。
*トリコロールの写真は生地サンプルを捨てる前にベランダで写真に残したものです。
*写真の女性が着ているウエットの裁断面が白いのが分かります。