
1976年・由比ヶ浜。ちょっとシボリ気味のバイクは、ミニトレのルーツであるFT1/JT1。
とても魅力的な写真だ。この前年にはヘルメット未着装が罰則化された。車種別バイクキャリアなど聞いたこともない時代、後ろに乗る人がキャリアとなり、抱える古い板にはリーシュカップも付いてない。それでも夏の暑い日に家で悶々としておられずに、どうしても海に行きたい気持ちは、この写真からひしひしと伝わってくる。この「未完成」な佇まいこそが、まさにあの頃の空気感そのものだ。
当時(僕の場合は1977年後半)、まだ車の免許を持たぬ私は、キャンディレッドのDAX50で1人サーフボードを抱え、車を持つ先輩の家へ向かうのが週末のルーティーンだった。クラッチ付きのバイクだったが、回転数さえ合わせればクラッチを使わずともシフトチェンジはできた。ただ、停止直前にうまくニュートラルに入れ、発進時には地面を蹴りながらローギアに叩き込む、そんな独特なコツが必要だった。
バイクに与えるダメージや、板がどこかにぶつかって傷つくことなど、当時の自分には些細な問題だった。それよりも、波に乗れる喜びが何物にも勝っていたのだった。そんな情熱を持った若者たちが、そこここに溢れていた、そんな時代だった。
