和歌山•磯ノ浦の思い出 2004
…天気予報のモニターに台風の接近を告げるアラートが流れ始めると、この駐車場には気合いの入った猛者達が集まり始める。
 階段の向こう側にはビーチが広がり、その奥には岩礁で割れるエキスパートオンリーのブレイクがある。
 ルーフから大きくせり出す長いガンを積んだ車。
 助手席のダッシュボードに見える反りの強いノーズ。
 ここでのサーファーの「価値」は誰が一番奥からいくか、だれが一番のセットに乗るか、、、それしかない。
 そんな崇高な場所に自分自身がいることが、少し恥ずかしくなった。
 そうこうすると、まだ波情報も的確でなかった時代にも関わらず、ウネリは猛者達の予想通りに上がってくる。折からの潮廻りは実にうとましく、この日はウネリの入ってくるタイミングと潮の乗り具合がシンクロしないようだった。私は少しほっとした。和歌山とは、そういう場所だ。